契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違いや売主が損をしないための対策を解説
2026/10/02
実家や自宅を売却する際に、売買契約書に書かれている「契約不適合責任」の文字に不安を覚えた方も多いのではないでしょうか。
引き渡した不動産が契約の内容に合っていなければ、売主は契約不適合責任を問われます。
ケースによっては、売主が気づいていなかった雨漏りやシロアリであっても、買主から修理や代金の減額を求められる場合があります。
この記事では、契約不適合責任の意味や責任を負う期間、売主がとるべき対策を紹介します。
家の売却でトラブルを避けたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
契約不適合責任とは?

契約不適合責任とは、引き渡した不動産が売買契約の内容と違っていた場合に、売主が買主へ負う責任です。
2020年(令和2年)4月1日の民法改正で、それまでの瑕疵担保責任(隠れた欠陥について売主が負う責任)に代わって定められました。
契約不適合責任の判断基準になるのは、売買契約書や付帯設備表(設備の有無や不具合を記載した書面)などに記載された内容です。
引き渡した不動産の種類や品質などが書面の記載と合っていなければ、契約不適合にあたります。
例えば、引き渡し後に雨漏りが見つかった場合や、心理的瑕疵をあとから知って通常の生活が送れなくなった、などが当てはまり、売主が知らなかった不具合でも責任を負う恐れがあります。
「自分も気づいていなかった」という説明は通用せず、買主から修理や代金の減額を求められるケースもあるため、売却を決めたら家の不具合や設備の状態を1つずつ確かめておきましょう。
契約不適合責任と瑕疵担保責任の違い
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瑕疵担保責任から契約不適合責任に変わり、売主の負担はどう変化したのでしょうか。
ここでは、売却に関わる違いを紹介します。
判断基準が「隠れた瑕疵」ではなくなった
売主・買主が気づけなかった欠陥かどうかは、責任を判断する基準ではなくなりました。
瑕疵担保責任では「隠れた瑕疵」、つまり売主・買主が注意しても見つけられなかった欠陥だけが対象でした。
しかし、今は契約書や付帯設備表の記載と実際の状態が合っているかどうかで判断されます。
買主が請求できる権利が増えた
もう1つの大きな変化が、買主から請求できる権利の種類です。
瑕疵担保責任では、買主が請求できるのは「損害賠償請求」と「契約解除」の2つに限られていました。
一方、契約不適合責任ではここに修理を求める「追完請求」と、代金の減額を求める「代金減額請求」が加わっています。
買主が選べる手段が増えた分、売主が対応を迫られる場面も広がったといえるでしょう。
売主に落ち度がなくても責任を負う
契約不適合責任では、売主に落ち度がなくても、修理や代金の減額には応じなければなりません。
契約の内容と違うものを引き渡したという事実だけで、責任が生じるのです。
ただし、損害賠償だけは売主に落ち度がなければ請求できないと民法で定められています。
トラブルに巻き込まれないためにも、売買契約時にどこまで責任を負うのかを担当者に確認しておきましょう。
家を売却する流れを詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
契約不適合責任で買主が請求できる権利とは
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契約の内容と違う不動産を引き渡した場合、買主は4つの請求ができます。
売主がどのような対応を迫られるのかを、ここで確認しておきましょう。
修理を求める「追完請求」
買主は、不具合を直してほしいという追完請求の権利を行使できます。
本来は代わりの品を引き渡す方法も認められていますが、同じ不動産は2つとありません。
そのため、雨漏りの補修や壊れた設備の交換など、修理で対応するのが基本になります。
工事費は売主の負担となり、屋根や給排水管が絡むと数十万円以上かかるケースも考えられるでしょう。
代金を減らす「代金減額請求」
修理に応じなければ、応じなかった分だけ売買代金を減らす代金減額請求を求められます。
買主が期限を決めて修理を求め、それでも売主が動かないときに減額を請求できる流れです。
修理では直せない不具合であれば、期限を待たずに減額を求められる場合もあります。
契約をなかったことにする「契約解除」
契約不適合責任では、買主が契約を解除する権利もあります。
例えば、雨漏りがひどくて住めないなど、買主が購入の目的を果たせない場合は解除の対象になります。
ただし、どんなケースでも契約を白紙に戻せるわけではなく、不具合が軽いと判断されれば、解除までは認められません。
契約が解除されれば受け取った代金を買主へ返還し、引き渡したはずの不動産が手元へ戻ってくることになります。
損害の穴埋めを求める「損害賠償請求」
売主に落ち度があると判断されると買主が受けた損害の賠償まで求められ、ケースによっては上記の3つと重ねて請求される恐れがあります。
例えば、雨漏りで家具が傷んだ場合は、修理に加えて家具の代金まで請求されることも考えられます。
どこまで責任を負うかは契約書の書き方でも変わるため、署名・捺印をする前に担当者へ詳細を確認しておきましょう。
契約不適合責任の期間はいつまで?

売主として気になるのが、責任を負う期間がいつまで続くのかという点です。
民法のルールと実際の売買契約での扱いを見ていきましょう。
民法では「不適合を知ってから1年以内の通知」が原則
民法では、買主が不具合を知ったときから1年以内に売主へ通知するよう定められています。
期間の起算点は「引き渡し日」ではなく「買主が不具合に気づいた日」です。
そのため、契約書で期限を何も決めていなければ、引き渡しから何年も経ってから通知が届く場合もあります。
なお、この1年のルールが当てはまるのは、雨漏りや設備の故障などの「種類」と「品質」の不具合です。
売買契約では短縮するのが一般的
実際の売買契約では、責任を負う期間を契約書で短く定めるのが一般的です。
個人が売主の中古住宅では、引き渡しから3ヶ月や6ヶ月とするケースがよく見られます。
契約書のどこに何ヶ月と書かれているのかを、売買契約の前に必ず確かめておきましょう。
売主が不動産会社の場合は2年より短くできない
不動産会社が売主になる売買契約では、宅地建物取引業法により契約不適合責任の期限を引き渡しから2年以下にすることができません。
つまり、個人が売主の場合は、この制限を受けずに期間を決められるのです。
クラストホームで家を売却した事例は、以下の記事でご紹介しています。
【売却実例紹介】紹介された4社のうち3社は大手。それでもクラストホームを選んだ理由
売主が契約不適合責任を問われやすい3つのケース

実際にトラブルへ発展するのは、どのような不具合なのでしょうか。
ここでは、売主が責任を問われやすい3つのケースを紹介します。
雨漏り・シロアリ・給排水管の不具合
トラブルの原因として最も多く見られるのが、雨漏り・シロアリ・給排水管など、建物に潜んでいる不具合です。
床下や壁の中は普段目にしないため、住んでいる売主自身も気づかないまま引き渡してしまいます。
特に給排水管の水漏れは、引き渡し後に床が濡れて初めて発覚するケースがよくあります。
修繕には数十万円以上かかる場合もあるため、心当たりがあれば売り出す前に専門業者の点検を受けておきましょう。
越境・境界問題
隣地との境界も、引き渡し後に揉める原因になります。
塀や屋根、樹木の枝などが隣地にはみ出していると、隣地の住民から解消を求められることがあります。
特に、京都の古い住宅地では、境界があいまいなまま何十年も過ぎている土地も見られます。
家の売却を決めたら、測量図や境界標を確認し、越境の有無を担当者に伝えておきましょう。
心理的瑕疵
目に見えるキズや不具合がなくても、責任を問われる場合があります。
過去に建物内で人が亡くなった事実などは、心理的瑕疵(買主が心理的な抵抗を感じる事情)にあたります。
人が亡くなった事実などを黙ったまま売却すると、引き渡し後に発覚して契約解除や損害賠償に発展する恐れがあります。
どこまで伝えるべきかの判断が難しい場合は、自己判断をせず、不動産会社に相談してみてください。
契約不適合責任で損をしないために売主がやるべきこと

契約不適合責任を問われるリスクは、売り出す前の準備である程度抑えることができます。
ここからは、売主が売却前にやっておくべき対策を紹介します。
物件状況報告書と付帯設備表に不具合を正直に書く
まずは、知っている不具合をすべて書面に残しましょう。
物件状況報告書(建物や土地の状態を売主が申告する書面)と付帯設備表に記載した不具合は、買主が承知したうえで購入した扱いになります。
「正直に書くと売れないのでは」と心配になるかもしれませんが、隠して売るほうがはるかに危険です。
過去の雨漏りや修繕の履歴も含めて、思い出せる範囲で書き出しておきましょう。
契約書に免責特約と通知期間を明記する
売買契約書には、免責特約と期間を明記してもらいましょう。
個人間の売買であれば、責任を免除する特約や期間を短くする取り決めが有効になります。
築年数の古い家では、契約不適合責任を負う期間を「建物は引き渡しから3ヶ月」などと定めるケースも見られます。
買主が免責期間に納得するかは交渉次第のため、担当者と相談しながら条件を決めましょう。
建物状況調査を受けておく
建物の状態を第三者に確認してもらう対策もおすすめです。
建物状況調査(インスペクション)では、専門の資格を持つ調査員が構造や雨漏りの状況を調べてくれます。
調査結果を買主へ提示すれば、引き渡し後に「聞いていない」と言われる事態も避けられるでしょう。
費用は数万円程度が目安のため、家の状態に不安がある方は検討してみてください。
既存住宅売買瑕疵保険に加入する
万一のトラブルに備えるのであれば、既存住宅売買瑕疵保険という選択肢もあります。
既存住宅売買瑕疵保険とは、引き渡し後に見つかった雨漏りや構造の不具合について、修繕費が保険でまかなわれる保険です。
保険に加入するためには検査に合格する必要があり、建物の状態によっては利用できないケースもあります。
保険への加入は買主にとっても安心材料となるため、建物状況調査と並行して検討してみましょう。
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免責にしても安心できないケース
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契約書に契約不適合責任の免責特約を入れても、すべての責任から逃れられるわけではありません。
特約があっても責任を問われる2つのケースを確認しておきましょう。
知っていた不具合を伝えていなかった場合
売主が知りながら伝えなかった不具合には、免責特約が通用しません。
民法では、売主が知っていて告げなかった事実については責任を免れないと定められています。
そのため「雨漏りしていることは伝えないでおこう」と黙って売った場合、特約があっても修繕費を請求される恐れがあります。
伝えにくい不具合ほど、契約前に打ち明けておきましょう。
告知書に事実と違うことを書いた場合
告知書に実際と異なる内容を書いた場合も、契約不適合責任を問われます。
書面の記載を信じて購入した買主にとって、事実と違う申告は判断を誤らせるためです。
例えば、隣の家と騒音や境界のトラブルがあったのに「なし」と書けば、契約不適合責任を問われることが考えられます。
告知書について記憶が確かではない場合は、無理に断定せず、担当者にそのまま伝えて書き方を相談してみてください。
契約不適合責任に関するQ&A
最後に、契約不適合責任についてよくある質問をまとめました。
築40年の古い家でも契約不適合責任を負うのでしょうか?
築年数が古くても、売主の責任がなくなるわけではありません。
判断の基準は建物の古さではなく、契約書や告知書の記載と実際の状態が合っているかどうかです。
ただし、築年数相応の傷みまで責任を負うわけではないため、古い家を売却する際は免責特約を入れるかどうかを担当者と相談してください。
現状有姿で売れば責任を負わなくてよいのでしょうか?
現状有姿と書くだけでは、契約不適合責任は免れません。
現状有姿は「今の状態のまま引き渡す」という取り決めであり、責任を免除する内容とは別です。
責任を負わずに売りたい場合は、免責の範囲を契約書へはっきり書き込む必要があります。
設備の故障も契約不適合責任の対象になりますか?
エアコンや給湯器などの設備も対象になります。
付帯設備表で「故障なし」とした設備が動かなければ、契約の内容と違う状態にあたるためです。
設備は引き渡しから7日間など、建物とは別に短い期間を定めるケースが一般的です。
買主から連絡が来たら、まず何をすればよいですか?
まずは仲介を担当した不動産会社へ連絡してください。
自分で返答すると、修理を約束した形になってしまう場合があります。
いつ、どのような不具合が起きたのかを買主に確かめ、写真や書面で記録を残しておきましょう。
まとめ
今回は、契約不適合責任の意味や瑕疵担保責任との違い、責任を負う期間や売主がとるべき対策を紹介しました。
契約不適合責任は、引き渡した不動産が契約書や付帯設備表の記載と合っていない場合に売主が負う責任です。
そのため、売主が知らなかった不具合であっても、買主から修理や代金の減額を求められる場合があります。
売り出す前に建物や設備の状態を確認し、不具合を正直に伝えておけば、引き渡し後のトラブルを回避できます。
クラストホームでは、契約不適合責任について丁寧にご説明のうえ、親身になって売却をサポートいたします。
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